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これまでの内容
第1回公判から第3回公判までを参照ください。
略語の説明もあります。
本事件は、高校の教頭が女子高生と淫行したかどうかが争点となっていて、
教頭が否認しているという状況です。
検察側とのやりとりの概要
弁護側は、Kの無罪を主張しているが、Aの証言からKの犯行は明らかである。
弁護側はKはAとはTMしていないため児童福祉法違反に該当せず、
Aを撮影した画像についても児童ポルノ法等違反の構成要件を満たさないというが、
AやHの証言はその内容が合致しており、信用性があるため、
Kの証言は信用できない。
Kの証言はAの証言と合致していない他、
KのパソコンにはAの裸体の画像だけではなく、女子高生の画像等が保存されており、
女子高生の近況の実態を把握するため、というKの証言は信用できない。
Kはそのような画像等を保存して女子高生の現状を把握するという方法を、
後輩に積極的に指導しておらず、もっぱら自己の性的欲求を満たすためのものと推認される。
また、弁護側は、児童ポルノの画像データ製造に該当しないと言うが、
Aの局部が画像の中心に写っていること、Aの着衣が乱れていることなど、
ことさらに、性的な部位が強調されているのは明らかであって、
削除するつもりであったとしても、依然としてパソコンに残っている以上、
画像データの製造に該当する。
こちらについても、自己の性的欲求を満たすためのものであることは明らかである。
以上のことから、懲役2年6月を求刑する。
弁護側とのやりとりの概要
児童福祉法違反について
Aの証言のみでは当法律に該当しえない。
Aの証言は以下の点で信用できない。
具体性がない
TMしたという証言だけで、具体的にどのようにTMが行われたのか不明である。
また、TMに至るまでの状況も一切語られておらず、単にTMしたというだけでは、
Aの元彼氏等とのやりとりや外部媒体等から得られた知識を元に、
発言をしているだけであって、Kとの行為を裏付けるものではない。
記憶が曖昧
Aは薬の影響からか、記憶が曖昧である。
初めて学校の外で、Kと会った日や初めてホテルに行った日などの記憶を覚えていない。
証言の矛盾
Aの証言は、客観的証拠と矛盾している。
Aが言う、初めてホテルに行ったされる日は、ホテルの記録とは異なっており、
Aの証言は信用できない。
また、車の中で接吻したとのことだが、Kの車の内部構造を見ると、
首を横に向けただけではすることができず、身を乗り出して相当体を移動させないと無理である。
このことからも接吻はしていないと言える。
児童ポルノ法違反について
KはAとのコミュニケーションの1つとして写真を撮影したのであって、
ことさらに局部を撮影したわけではない。
しかも、すぐに削除するつもりだったが、忘れていただけであって、
法の構成要件に合致しない。実際にすぐに削除した画像もある。
以上のことからKは、可罰的違法性の観点からも無罪である。
被告人Kの最後の陳述概要
自分は今回の件で、周りから強く非難された。
自分は県教委時代から児童虐待をする親を強く憎んでいた。
Aがその児童虐待の対象であることを知り、なんとか力になりたいと思った。
そんな中Aが心を開いてくれた。
しかし、結果としては、AやH、自分の周りの人たちに多大な迷惑をかけたことは、
まことに申し訳ない。
これは罪を認めるということではないが、今後はAとHには幸せに暮らして欲しい。
迷惑をかけた皆様方には、おわび申し上げたいと思います。
話があまりにも長くて、裁判官に遮られるシーンがあった。
個人的見解
最後の意見で、Kがあまりにも長い内容を話すことにびっくりした。
自分は無罪であることを確信しているようだ。
懲戒免職を覚悟していたという割には、
個人的に不可解な点がある。
それは、探偵からの証拠を突きつけられるまで、
Aとホテルに行ったことを否定していた点である。
まして、Kの家族にもそのことを言っていないのは甚だ変である。
立派な教育者であれば、
Aのような生徒がいれば、ホテルではなく、
Kの家族ぐるみでAを支えていくのが妥当なのではないのか。
どうせ懲戒免職を覚悟しているのであれば、なおさらだ。
ダメだとわかっていながらの行為があまりにもお粗末である。
また、AがKに心を開いたというのに、
なぜAは嘘までついて、Kを訴える必要があるのか。
つまり、Aは嘘ではなく、事実を述べていると考えるのが妥当である。
Aは一応Kを信頼していたのであるから、その信頼が今も続くのであれば、
Aは嘘をついて、KとTMした等の証言するメリットや意味がない。
Aが解離性障害という病気であったとしても、
そのような病気の人は皆嘘をつくのか。そうではないはずである。
断片的であっても何らかの記憶は正しいはずであって、
その記憶はAにも十分あると思う。Aの証言からそれは伺える。
さらに、Aが入院したことの「ご褒美」で旅行に行く、
というKの謎の発想と行動が理解できない。
Aへの「ご褒美」ではなく、
これまでと違う場所でTMできるというAからの「ご褒美」と考えるのが自然に思える。
Kは教頭の業務を終え、疲れていたのでTMする体力がないというが、
体力がないのに風呂に入るだろうか。
もう眠い、疲れている、そして目の前にベッドがある。
この状況で、「よし風呂に入ろう。ホテルのお金を払っているのは俺だ。元を取ろう。」と、
なるだろうか。
風呂に入ればさっぱりして、目が覚めそうである。
本当に疲れていたら、まずは寝て、起きてから風呂に入るのではないかと思う。
Aには嘘をつく意味もメリットも、理由もないが、
Kには嘘つく意味もメリットも、理由がある、
というのがこの事件に関わる両者の大きな違いである。